食材豆知識 バックナンバー
塩の力

塩と文明

古代においてヒトの集団が発生し繁栄した場所は、例外なく塩や水が豊富に得られる所でした。例えばヨルダン河、ナイル河、チグリス・ユーフラテス河、黄河などの流域です。とくに世界最初の文明は、死海の北端部ヨルダン河の河口に発生したといわれていますが、これは20%もの塩を含む死海の水の利用と密接な関係があったと思われています。

古くから地中海の沿岸地方をはじめヨーロッパ、さらに近東諸国やアジアを通じて、塩の交易路が伸びてきました。日本においても、古代の大和朝廷を中核とする国家は、河川に沿って塩を運ぶ道が開け、文化の伝搬路になりました。

防腐・貯蔵のための塩

食物を腐らせる雑菌が増殖するのには、水が必要ですが、塩には食物から水分を染み出させる働きがあります。さらに10%以上の海水濃度になると、腐敗バクテリアの発生や微生物の発生を抑制する作用があります。食物の保存ができるということは、人類の進歩のうえで、大きな意味を持っていました。古代もそうですが、コロンブスやマゼランらによる長期間に及ぶ航海、探検などは塩があり、食品の貯蔵・保存が可能になったからこそ、成功したといえます。

日本でも塩は貴重品とされており、かつては品質が悪く変化しやすいものでした。これを保存する最良の方法として、塩を動物性あるいは植物性食品の繊維や、蛋白のなかに含ませる塩蔵法が行われていました。これが「醤(ひしお)」です。

塩の種類

岩塩 岩塩とは、古代、海であった土地が地殻変動などにより地中に埋まり、海水の塩分が結晶化して地層となったものです。
海塩 海水を引き込み、1〜2年程度の期間、塩田内の細分化された濃縮池を巡回しながら太陽と風で海水を濃縮していき採塩地で結晶化した塩を収穫する方法です。
煮つめ塩 塩水を煮つめて水分を蒸発させる方法です。日本では岩塩、湖塩がなく、雨が多いので天日塩にも適しません。そのため、この方法で塩を作りました。
湖塩 地殻変動などによって閉じ込められた塩の一部は、濃い塩水の湖「塩湖」になります。塩湖からとれる塩を、湖塩といいます。

今ではいろいろな種類の塩を購入することができ、料理をはじめ掃除や洗濯、入浴の時などさまざまに活用されています。是非、毎日の生活に塩を活用してみてはいかがですか。

参考資料
・イシイの食文化研究所 げんてん Vol.7、イシイの食文化研究所:2011年2月より一部抜粋
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