良いものを、仕組みで再現する。
——1986年入社、15部署を渡り歩いた石田さんが語る「石井らしさ」の正体
「誰が作っても同じ安心が保証される」——この一文を、技術・品質・購買・営業など15もの部署を経て実現してきた人がいます。
石田さんは1986年の入社以来、石井食品の「無添加調理」と「安心安全」の仕組みをゼロから構築してきました。ISO導入による一気通貫の合否判定、栗きんとん製造プロセスの刷新、品質保証番号によるトレーサビリティ——それらはすべて、感覚や経験則に頼らず、誰でも再現できる仕組みへと変えるための、地道な戦いの積み重ねです。
現在は素材価値開発部で原材料調達を担う石田さんに、石井食品の「安心安全」がどのようにして築かれてきたかを語っていただきました。
司会・編集:オウンドメディア編集部(ESG推進チーム:仲山/顧客体験デザイン部:坂本)
目次
- 自己紹介と現在の役割
- 15部署を渡り歩いた「石井食品の大黒柱」
- 品質保証のイシイモデル「一気通貫の合否判定」
- 手作りのロジックを貫いた「栗きんとん」製造プロセス
- 信頼の証「品質保証番号」と取引先との絆
- 受け継がれる「石井らしさ」
自己紹介と現在の役割
仲山: まずは自己紹介からお願いします。
石田: 1986年入社、40年間石井食品一筋です。技術部、品質、購買、営業など多岐にわたる部門を経験しました。特に、京丹波工場でのISO導入と栗きんとんの製造プロセス構築が印象深い仕事です。
坂本: 本日は石井食品一筋の石田さんから石井食品の魅力をたっぷりお伺いできればと思います。
15部署を渡り歩いた「石井食品の大黒柱」
仲山: 石田さんはこれまで15もの部署を経験されてきたと伺いました。まさに石井食品の歴史そのものですが、数ある職務の中で、現在の「安心安全」の基盤づくりに最もつながったと感じる経験は何でしょうか?
石田: 一つに絞るのは難しいですね。しかし、当時の社長(石井健太郎)が常に言っていた「お客様第一」という哲学を、いかに現場の技術やシステムに落とし込むか、というチャレンジの時代に関われたことが大きいと思います。昔ながらの「感覚」や「経験」ではなく、「誰が作っても同じ安心が保証される」仕組みに変える必要があったのです。
品質保証のイシイモデル「一気通貫の合否判定」
坂本: その仕組みについてもう少し具体的に教えてもらえますか?
石田: 特に印象に残っているのはロット管理と品質保証です。かつては、製造部門で「よし」と判断されれば次の工程に進んでしまう、属人的な流れがありました。しかし、京丹波工場でのISO導入を機に、私たちは属人的で可視化されていなかった基準や知識を明確化し、フローを再構築することで仕組みを根底から変えました。
坂本: 「一気通貫の合否判定」という概念の導入ですね。
石田: はい。原材料の入庫から、計量、調理、充填、殺菌、そして出荷に至るまで、全ての工程にチェックポイントと基準を設け、よりお客様に安心を届けるための「一気通貫の工程書」を構築したのです。この仕組みの構築には製造プロセスだけではなく、イシイモデルに代表される素材(産地)も含んだ安心を届けるところまで含まれています。これが品質保証番号から素材や産地まで追える石井独自のトレーサビリティの仕組みです。(※1)工程全体で品質を保証するトレーサビリティを確立し、お客様へお届けする安心のレベルを飛躍的に高めることになりました。
※1 イシイのトレーサビリティとは:「二次元コード」を用い、素材情報と最終製品をひも付けするという手法。このやり方で商品の産地情報や流通履歴を厳密に管理し、お客さまが「原材料・原産地・由来原料・加工地・加工日・検査内容・アレルギー対象原料」を確認できるシステムです。(OPEN ISHII:https://www.ishiifood.co.jp/open-ishii/)
手作りのロジックを貫いた「栗きんとん」製造プロセス
仲山: 製造プロセスだけでなく素材も含めてお客様に安心を届けることがイシイらしさを感じます。他にもイシイ独自のモデルはありますか?
石田: そうですね。栗きんとんの製造はもう一つのイシイらしいこだわりかもしれません。例えば、効率を追求するなら機械的に連続生産する方が圧倒的に楽です。しかし、当時の社長(石井健太郎)は「それでは製品を丁寧に作れない。大量生産では成し得ない、細部まで目の届く製造プロセスが大切」と、あえて人の目で工程ごとに品質を確認する製造方法を採用しました。それにより、素材の状態やその日の気温・湿度の違いに対応でき、自信をもって美味しさと品質をお届けできるようになりました。これは非常に手間のかかる作業ですが、石井食品の「こだわり」を届けるために製造プロセスで考慮すべき重要なポイントです。
仲山: 非常にイシイらしい「こだわり」のストーリーですね。
石田: はい。今となっては笑い話ですが、保健所からは「これは和菓子屋のやり方だ。工場でやるべきではない」と言われたこともありました。効率重視の時代に、逆行しているように見えたのでしょう。でも、この製造プロセスは今でも続いていて、イシイの栗きんとんへの自信につながっているんですよ。
信頼の証「品質保証番号」と取引先との絆
坂本: 先ほどお話にでたトレーサビリティについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
石田: 品質保証番号は、私たちの自信の表れです。これまでお話しした製造プロセスだけではなく、原材料に対しても非常に強いこだわりを持っています。原材料に対しては独自の厳しい「厳選素材(※2)の基準」を設けており、その基準が厳しいものであることは私たちも実感しています。その中で、私たちの価値観に共感していただき、ともに協力してくれる取引先には感謝しきれません。ともに切磋琢磨したからこその絆があり、それが石井食品の強みだと感じています。
※2 厳選素材とは:作物の生育状況やほ場の品質管理、検査体制などが明確にわかる素材だけを厳選しています。確認対象は「使用原材料及びその原産国」「加工助剤(表示義務なし)を含む食品添加物」「食物アレルギー物質」「遺伝子組換えの有無」「生産工場」です。
受け継がれる「石井らしさ」
仲山: 石田さんのご経験は、無添加、ロット管理、製造プロセス、仕入れのすべてが、当時の社長が掲げた「良いものを作れ」「お客さんに寄り添え」というミッションを具現化する戦いの歴史だったのですね。
石田: そうかもしれません。私たちは、業界が食品添加物に走ったり、ロボット化に邁進したりした時代に、あえて真逆の道を選んできました。その「苦労の結果」こそが、今の石井食品の揺るぎない「安心安全」の基盤になっています。この石井らしさを、もっと多くのお客様に知っていただきたいといつも思っています。
【編集後記】
保健所から「和菓子屋のやり方だ」と言われながらも栗きんとんの製造プロセスを変えず、ロット番号ではあえて「品質保証番号」と名付けた——石田さんが語る石井食品の歴史は、効率や常識に逆らい続けた選択の積み重ねでした。「誰が作っても同じ安心が保証される」という言葉は、40年にわたって現場で仕組みを磨いてきた人だからこそ、重みを持って響きます。