つくる 広がる
2026.04.22

工場見学は、石井食品を体験する場所。

——30年以上続く「手作りの温かみ」の正体

八千代工場工場見学チームの中澤さんと原田さん
八千代工場工場見学チームの中澤さんと原田さん

揚げたてのミートボールをひと口食べた瞬間、訪れた方の表情が変わります。ソースがかかっていない、素材のままの味。それだけで、石井食品のこだわりが伝わってしまう場所——それが工場見学です。

石井食品の工場見学は、30年以上の歴史があります。工場見学ブームよりずっと前から、社員が手作りでプログラムを作り、育ててきた場所です。
現在、工場見学チームを担う中澤さんと、その前任として長年この場を支えてきた原田さんに、工場見学の歴史とこれからを語っていただきました。

司会・編集:オウンドメディア編集部(ESG推進チーム:仲山/顧客体験デザイン部:坂本)
 

目次

  • 自己紹介と現在の役割
  • 原点は石井トヨ子さんの料理教室
  • 「毎月1日は戦場」だった電話受付時代
  • マニュアルを超えた「石井らしさ」
  • 有料化による変化と「手作り」の進化
  •  今後の展望:地域と旬の取り組みを工場見学にも

自己紹介と現在の役割

仲山: まずは自己紹介からお願いします。

中澤: 現在、商品価値創造部 生産管理グループの工場見学チームに所属しています。以前は営業職や、本社1階にある「Viridian」での店舗運営を経験しました。お客様と直接向き合い、石井食品の魅力を伝えることが長年の仕事でしたが、今はそのフィールドを「工場」に移しています。工場見学は単なる製造ラインの案内ではなく、「石井食品のファンになっていただくための場」だと考えています。営業や店舗での経験を活かし、どうすればお客様に楽しんでいただけるか、その企画や運営を行うのが今の私の役割です。

原田: 現在は工場総務グループに所属しています。工場で使う備品の管理や発注、従業員が使うユニフォームや長靴の手配など、工場の操業を裏方として支える仕事をしています。今の総務の仕事に就く前は、長く工場見学チームにいました。中澤さんが担当される前の、もっとアナログで、もっと手作り感あふれていた時代の見学を担当していました。

原点は石井トヨ子さんの料理教室

坂本: 石井食品の工場見学は、いつ頃、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?

原田: 私が担当する20年近く前から、もっと言うと30年以上前から始まっています。その原点にあるのは、石井トヨ子(石井食品元会長)さんの存在です。

中澤: もともとトヨ子さんが地域の方々向けに料理教室を開催していたんです。そこで生徒さんたちから「せっかくだから工場で作っているところも見たい」というお声があり、「ではどうぞ」とご案内したのが始まりだと聞いています。

原田: 企業の広報戦略として始まったのではなく、お客様との対話やおもてなしの延長線上で自然発生的にスタートしたというのが、いかにも石井食品らしいエピソードです。数年前に起きた工場見学ブームよりずっと前から、ずっと続けてきたことなんです。

八千代工場の直売店
八千代工場の直売店

「毎月1日は戦場」だった電話受付時代

仲山: 以前は予約を取るのも大変だったと伺いました。

原田: 本当にすごかったんです。インターネット予約がない時代は、毎月1日の朝10時から翌月分の予約を電話で受け付けていました。2人で電話対応をするのですが、回線がパンク寸前。ありがたいことに、石井食品がテレビなどで取り上げられると、放送直後から夜になっても電話が鳴り響く状態で……。毎日午前・午後で各40名を受け入れ、その手書きの予約表を集計するという作業が続きました。毎月1日はまさに「戦場」でした。

マニュアルを超えた「石井らしさ」

坂本: 他社の工場見学と比較して、石井食品ならではの特徴はどこにありますか?

中澤: 「手作り感」と「人の温かみ」ですね。他社の工場だと、ガラス越しに完全自動化された機械だけを見て終わることもありますが、石井の工場は石井の味を守るためにあえて人の手で進める工程がたくさんあります。ほかの工場見学に比べて、工場で人が働いているという場面が随所に出てきます。

原田: 説明もマニュアル一辺倒ではなく、案内する人自身の言葉で伝えるようにしているので、従業員の人柄も含めて石井食品を感じていただける場所になっていると思います。

坂本: 中でも「揚げたてのミートボール」は人気だそうですね。

原田: はい。袋に充填(袋詰め)される前の揚げたてミートボールを製造現場から急いで持ってきて、その場で召し上がっていただきます。あるとき「うちの子は2歳なんですが、お肉を食べないんです」というお母様がいらっしゃいました。揚げたてミートボールをお出ししたところ、そのお子様が初めてお肉を口にして、しかもものすごい勢いで食べてしまったんです。「これはどこで売っているんですか」と驚かれましたが、臭みがないから子供の敏感な舌でも受け入れられる。素材の良さがそのまま伝わった瞬間でした。

見学通路を案内する中澤さん
見学通路を案内する中澤さん

有料化による変化と「手作り」の進化

仲山: コロナ禍を経て、現在は有料(一般・中学生以上500円)になりました。お客様の反応はいかがですか?

中澤: 有料になるとお客さんが来てくれなくなるのではと懸念しましたが、年間約1万人のお客様にお越しいただけています。「石井食品のことを知りたい」と思って来てくださる方が多くなり、熱心に聞いてくださいます。「イシイのファンになりました」と言って帰ってくださるお客様の笑顔が、今の私のモチベーションです。

原田: 見学通路のパネルも、実は自分たちで作ったものが多いんです。「ここをもっと明るくしよう」「子供にもわかりやすく」と、工場のメンバーを中心に、部署の垣根を越えて知恵を出し合って改良してきました。プロの広告代理店にお任せした洗練されたものとは違うかもしれませんが、その手作り感こそが、石井の思いを伝えるツールになっています。

工場見学通路には昔のパッケージも...!
工場見学通路には昔のパッケージも...!

今後の展望:地域と旬の取り組みを工場見学にも

坂本: 今後、工場見学をどのように発展させていきたいですか?

中澤: 今、会社全体で力を入れている「地域と旬」の取り組みを、工場見学でも体感できるようにしたいですね。単にミートボールを見るだけでなく、「野菜には旬がある」「地域によって味が違う」といった食育の要素を盛り込むことで、教育現場やご家庭への貢献度を高めたいと考えています。

原田: 子供たちには「食の楽しさ」を、ご年配の方には「健康的なタンパク源」としての提案を。世代を超えて愛される工場見学を目指して、これからも「石井ならではの手作り感」を大切にしながら進化させていきます。

【編集後記】
 「毎月1日は戦場だった」——原田さんが笑いながら振り返った言葉の裏に、30年以上この場を続けてきた人たちの苦労があります。広告代理店には頼まず、社員が知恵を出し合い、手作りで育ててきた工場見学。揚げたてのミートボールをひと口食べた2歳の子が、初めてお肉を口にした——そんな瞬間の積み重ねが、石井食品のファンをつくっています。