つくる
2026.04.22

「石井らしさ」は、裏にある。

――農家さんとの本音から工場の人の目まで、商品価値創造部生産管理グループの杤本さんが語る石井食品の誠実さ

商品価値創造部の杤本さん
商品価値創造部の杤本さん

「無添加」という言葉は、今や食品の世界に溢れています。あらゆるメーカーがその言葉を掲げる中、石井食品が「無添加です」と言うだけでは、何が違うのかは伝わりません。

けれども、中身を聞くと話は変わります。素材の仕入れから、包材メーカーとの交渉、工場の製造ライン、最後の品質チェックに至るまで——石井食品の安心安全は、ひとつひとつの工程における、人の誠実さによって支えられています。

今回は、生産管理担当として現在は八千代工場に勤務する杤本さんに、京丹波工場受入センター時代から現在に至るキャリアを振り返りながら、石井食品の「裏側」を語っていただきました。

司会・編集:オウンドメディア編集部(ESG推進チーム:仲山・岸/顧客体験デザイン部:坂本)

目次

  • 自己紹介と現在の役割
  • 石井食品の誠実さは、農家さんとの「本音」から始まる
  • 包材メーカーも「仲間」に。腹を割って付き合い続けた7年間
  • 無添加調理を「本物」にするのは、工程の誠実さ
  • 生産管理が守る、もうひとつの安心安全
  • 最後は「人の目」が守る。石井食品のラインに残る、人の仕事

自己紹介と現在の役割

坂本: まずは、これまでのキャリアを教えていただけますか?

杤本: 大阪で2年間営業を担当した後、京丹波工場の受入センターに配属されました。そこに8〜9年ほど在籍し、途中から経営分析チームとの兼任を経て、京丹波に戻って人材開発を1年担当しました。その後、生産管理に異動して現在に至ります。今は八千代工場に勤務しています。

仲山: 石井食品における生産管理とは、どのような仕事なのでしょうか。

杤本: 正直なところ、まだ定まっていないというのが今の実感です。一般的には、原料の受け入れから出荷までを数値で管理し、日々の調整や指示を出す仕事ですが、石井食品ではこれまでその役割が各部署に分散していました。そのため今は「数値の見える化」と「分析」を中心に担っています。各部署が抱えている数字の集め方・見せ方を一緒に整えて、課題を明確にして経営に伝えるところまでつなげていく。現時点での自分の「お客様」は、各部署のメンバーだと思っています。

石井食品の誠実さは、農家さんとの「本音」から始まる

仲山: 石井食品が「普通の食品メーカー」と何が違うのか、ぜひ聞かせていただけますか。

杤本: キャリアのほとんどを原材料調達の仕事に費やしてきたので、どうしてもそちらの話になりますが。2016〜17年頃に、「地域と旬」の取り組みが始まりました。私が最初に携わったのが、丹波しめじハンバーグと、唐津の「みじょっこハンバーグ」です。農家さんの収益が向上し、地域が活性化して就労機会が生まれるよう——小さな取り組みから始め、少しずつ規模を広げていきました。

坂本: 農家さんとの付き合い方は、他の会社と何が違うのでしょうか。

杤本: 一般的な会社であれば、出向いて「これだけ買うから」と契約して終わりです。石井食品は、現地に一緒に行って農家さんの悩みを聞いて、どうやっていきたいかという思いをもとに商品を作り、信頼関係を積み上げてきました。本音で話し合える関係が、地域との取り組みの根底にあります。

仲山: その信頼が、具体的な形になって表れたことはありましたか?

杤本: 玉ねぎの価格が大高騰した年がありましたが、農家さんが「石井さんにはお世話になっているから」と言って、通常の価格で出してくださったことがありました。価格交渉の技術ではなく、積み上げてきた信頼があってこそです。そしてその信頼が、商品の安定した品質と供給につながり、お客様へ届く——そのような流れが石井食品にはあると思っています。

包材メーカーも「仲間」に。腹を割って付き合い続けた7年間

仲山: 農家さんだけでなく、包材メーカーさんとも石井食品独自の関係があると伺いました。

杤本: 途中から包材の担当になり、7年ほど携わりました。包材メーカーさんとも、上辺だけの付き合いではなく、「嘘をつかない」「腹を割って話す」ことを大切にしてきました。先方が困っていればこちらが助ける、こちらが困ったときは先方が最優先で動いてくれる。そういう関係が少しずつできていきました。急ぎの対応が必要なときに、先方の営業部長さんが直接動いてくださったこともあります。もちろんこちらが迷惑をかけることもありました。それがお互い様になっていく中で、信頼が育まれていったのだと思います。

坂本: その関係が実感として届いた瞬間はありましたか?

杤本: 八千代に転勤するとき、各メーカーさんがプライベートで声をかけてくださって、送別会を開いてくれました。言いたいことをたくさん言ってきたはずなのに、やってきたことは間違いではなかったのだと、素直に嬉しかったですね。「取引先」としてではなく、一緒に商品を作る仲間として付き合ってきた関係だったのだと思います。

業務中の杤本さん
業務中の杤本さん

無添加調理を「本物」にするのは、工程の誠実さ

坂本: 石井食品の「無添加調理」は、世の中に溢れる無添加と何が違うのでしょうか。

杤本: 栗の話が分かりやすいかもしれません。国産の栗でも、中国で剥いてミョウバンに漬けて缶詰にして日本に送り返す方法はいくらでもあります。しかし石井食品はそうしません。ミョウバンを使わないため、自社で最も美味しくなる保管方法を考えて繰り返し試しています。保管温度に細かく気を配り、剥いてから何日以内に加工するかというルールも設けています。

仲山: たけのこも同じ考え方ですか?

杤本: たけのこも、朝採りのものだけを使います。時間が経つとアクが強くなってしまうため、朝に農家さんや道の駅を回って調達し、戻り次第すぐに洗って皮を剥いてアク抜きをして、その日のうちに加工します。美味しさが損なわれる前に処理するためです。

仲山: 仕入れた時点から、工程全体が設計されているということですね。

杤本: そうです。仕入れの段階ですでに食品添加物のない素材ですから、それを何日以内に加工するか、製品設計の段階で何日もつ味付けにするか——そのプロセス全体が石井食品のロジックだと思います。そうした工場的なものづくりの中にも、家庭の手料理の考え方が、今も製造の根底に生きています。

生産管理が守る、もうひとつの安心安全

坂本: 生産管理の仕事は、具体的にどのようにお客様の安心安全につながるのでしょうか。

杤本: 品質の良い商品を安定して届けること、欠品を減らすこと、品質のばらつきや不良品がお客様の手に届くリスクを下げること。地味な回答かもしれませんが、それが根本だと思っています。現在は歩留まりの改善に取り組んでいます。毎日のお昼の会議で前日の歩留まりをグラフで確認し、工場長も交えて「この日の要因は何だったか」「どう改善するか」を話し合っています。

坂本: 廃棄が減るということは、コストの問題にとどまらないですね。

杤本: そうですね。農家さんや包材メーカーさんがこだわって作ってくださったものを廃棄することは、信頼関係においても申し訳ないことです。廃棄を減らす努力は、お客様への誠実さであると同時に、取引先への誠実さでもある。その二つはつながっています。

課題を付箋に書き出して、議論をします
課題を付箋に書き出して、議論をします

最後は「人の目」が守る。石井食品のラインに残る、人の仕事

仲山: 工場のラインについても聞かせてください。石井食品の製造現場には、どのような特長がありますか。

杤本: 入社当初、工場を見せてもらったとき、「なぜこれほど人がいるのか」と驚きました。一般的には機械で処理してベルトコンベアで流すイメージですが、石井食品では各工程のつなぎ目に人が立って、ひとつひとつのプロセスを目で確認しています。

坂本: それはなぜですか?

杤本: すべてを機械に任せると、石井食品が守りたいものが守れなくなるからです。ほぼ全ての商品で人の目による確認を行っています。充填前にクリーンな状態を確認し、製品が流れる途中で異常がないかを確認し、最終製品の印字や袋の状態も確認する。最終合否判定も人の手で行います。効率化を優先すればもっと機械化できる部分はあります。それでも人の手と目を残しているのは、担保したいものがあるからです。

仲山: そうした積み重ねが、お客様との関係にも表れているのでしょうか。

杤本: カスタマーサポートへのお申し出が、商品の販売規模に比べて思いのほか少ないのです。嬉しいお声も届きますし、お申し出があったときも「ちょっと気になって連絡した」という温かいトーンの方が多い。ファンのお客様との信頼関係も、安心安全の一部だと感じています。農家さんとの関係、包材メーカーさんとの関係、工場のライン——そのすべてがつながって、最後にお客様のところへ届いています。それが石井食品の誠実さの正体だと思っています。

杤本さんインタビュー風景
杤本さんインタビュー風景

【編集後記】
語っていただいたエピソードは、地味で、手間がかかり、それでいて決定的に重要なものばかりでした。農家さんの悩みを聞きに行くこと、包材メーカーさんと腹を割って話すこと、工場のラインに人の目を残すこと——それらはすべて、石井食品の安心安全を支える柱です。「石井らしさ」は確かに裏にありました。そしてその裏は、誇りに満ちていました。