つくる
2026.07.03

「捨てるしかない」京都舞コーンを、美味しく届けるために

ロックファーム京都との7年の歩み

出典元:ロックファーム京都
出典元:ロックファーム京都

石井食品には、2016年から続ける「地域と旬」という取り組みがあります。全国各地で手間ひまをかけて育てられた食材を、石井食品の無添加調理(※)の技術によって魅力ある製品へとプロデュースするプロジェクトです。素材価値開発部の担当者が直接農家さんのもとへ足を運び、対話を重ねながら商品化を進めています。
その中でも、ロックファーム京都と2019年から続けてきた京都舞コーンを使った『京都舞コーンスープ』の開発は、私たちにとって特別な一品です。農家さんが大切に育てながらも「捨てるしかない」と諦めていた規格外の野菜を、美味しい一杯のスープへ。その想いと歩みをご紹介します。
※ 当社での製造過程においては、食品添加物を使用しておりません。

目次

  • 出会いは、一枚の写真から
  • 「捨てるしかない」をなくしたい
  • スープ開発は「白さ」を活かす戦い
  • 品質を守り続けることの難しさと誠実さ
  • これからの取り組みについて
  • 商品情報
  • まとめ

プロフィール

村田翔一(ロックファーム京都株式会社 代表取締役)
専門学校卒業後、消防士として10年間勤務。農業への想いを捨てられず、2019年に「カッコいい農業」を目指すロックファーム京都を設立。京都名産の九条葱の生産からスタートし、農業のネガティブなイメージ払拭に取り組む。

 

 

三谷明(石井食品)
2001年に新卒で石井食品に入社し、2025年で勤続23年目。現在は、八千代工場素材価値開発部にて、地域プロデュースチームのマネージャーを務める。

 

 

藤本操(石井食品)
2004年入社。石井食品の京丹波工場にて、生産と製造開発を担当。『京都舞コーンスープ』の製造において、レシピ開発を牽引。

 

出会いは、一枚の写真から

― ロックファーム京都との出会いを教えてください。

三谷(石井食品):「京都に面白い食材はないかな」とインターネットで検索していたときに、ロックファーム京都のサイトを見つけました。「カッコいい農業」を掲げているだけあって、写真がインパクト抜群で。調べると展示会に出展するとわかったので、迷わず足を運びました。

村田(ロックファーム京都): 展示会でお会いしたとき、三谷さんはその場で「一緒に何かやりませんか」と声をかけてくださいました。石井食品さんのような大きな会社は意思決定に時間がかかると思っていたので、あの展開には驚きましたね。

三谷: 農業に前向きに、楽しそうに取り組んでいる姿を見たら、スピードにこだわりたいという気持ちになりました。開発メンバーの藤本も、工場長も巻き込んで、一気に商品の完成まで駆け抜けましたね。

出典元:ロックファーム京都
出典元:ロックファーム京都

「捨てるしかない」をなくしたい

― スープにするというアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

三谷: コラボが決まってすぐに考えたのが、規格外の京都舞コーンをどう活かすかでした。農家さんが大切に育てたものを、形やサイズの問題だけで廃棄するのはどうしても惜しい。スープなら形が不ぞろいでも問題なく使えると気づいたんです。
この取り組みにより、2024年は5,500kg(1本300gとすると約18,333本分)もの規格外品を無駄にすることなく、スープとして命を吹き込むことができました。結果として、対象となる規格外品の「廃棄ゼロ」を実現しています。

村田: 私たちも、規格外を「捨てるしかない」じゃなく「美味しく活かしたい」という課題意識をずっと持っていました。昨年は規格外品をゼロにするという目標も達成できました。スープという形にしていただいたことで、農業の価値を広げてもらえたと感じています。

三谷: 石井食品として「全部無駄なく使いたい」という視点は、ものづくりの根本にあります。お互いに「こういう形なら活かせる」と建設的にアイデアを出し合えたのが良かったですね。

スープ開発は「白さ」を活かす戦い

― 開発にあたって特にこだわった点を教えてください。

三谷: 素材価値開発部のこだわりは「自分たちの目で確かめること」です。畑まで足を運んで、村田さんと一緒に同じ京都舞コーンを見て、話して、商品に落とし込む。一緒に同じものを見て話したほうが良い商品になると信じています。

村田: 石井食品さんの商品開発の徹底ぶりには本当に驚きました。素材の発見からレシピの開発、販売まで、「ここまでやるのか」と思うくらい真剣に取り組んでくださいました。

藤本: 最大のポイントは、京都舞コーンの「白さ」をどのように活かすか、でした。そのために、炒め方に徹底的にこだわりました。炒めすぎると京都舞コーン特有の白さが損なわれ、黄色に近づいてしまいます。一方、炒め方が足りないと野菜の青臭さが残って美味しさが損なわれてしまう。ガス釜の強い直火でとうもろこしの粒を短時間で炒ることで、色と美味しさが両立するギリギリを狙いました。

また、とうもろこしの粒を外した芯も捨てずに出汁を取り、粒のペーストを伸ばす使い方をしました。これにより舞コーンを余すことなく活用し、旨みもアップしました。味付けは塩だけ。無添加調理(※)のノウハウを活かして、素材の甘さやまろやかさをストレートに伝えられるスープを目指しました。

― 加工工程で苦労した点はありますか?

藤本: 近年はロックファーム京都さんが減農薬に取り組んでくださっています。安心・安全なとうもろこしができる一方、小さい虫がつきやすくなります。2025年からは洗浄工程を見直し、虫をしっかり取り除けるよう改善しました。美味しさだけでなく、安全性においても毎年少しずつ工程を積み上げています。安心して食べていただくために、現場でも試行錯誤は続いています。

品質を守り続けることの難しさと誠実さ

― ロックファーム京都の品質へのこだわりについてはいかがでしょうか。

三谷: 毎年気候が変わる中で、同じ品質を出し続けることは本当に難しいことです。ロックファーム京都さんは、毎年安定して白く甘い舞コーンを届けてくださっています。収穫量を増やしながらも品質を落とさない姿勢に、私たちも学ぶことが多いです。

村田: ありがとうございます。気候の変化は年々読みづらくなっています2025年も例年以上に暑かったり急な大雨があったりして、虫も増えやすい状況でした。でも「美味しいものを安定して届けたい」という想いは譲れません。スタッフみんなで畑の状態を毎日チェックして、試行錯誤を続けています。

三谷: ロックファーム京都さんが減農薬に取り組んでくださっていることは、私たちにとってもとても有り難いことです。安心・安全なものをお届けしたいという想いは、生産者さんも石井食品も同じだと感じています。だからこそ、加工の現場でも毎年工程を見直しながら、その想いに応えていきたいと思っています。

これからの取り組みについて

― 今後の取り組みについて教えてください。

村田: 今後はスープ以外にも、他の商品展開も相談しています。さまざまな形で京都舞コーンをもっと多くの方に知っていただけたら嬉しいですね。

三谷: とうもろこしをスープにする食べ方は、日本ならではの文化だと聞いたことがあります。いつか、京都を訪れた海外の方が手に取るお土産になったら嬉しい。スープを通じて京都舞コーンを知り、「生の京都舞コーンも食べてみたい」と思っていただける流れを作っていきたいです。

商品情報

『京都舞コーンスープ』

ロックファーム京都で栽培される「京都舞コーン」は糖度が高く、フルーツのような甘みのあるとうもろこし。石井食品の無添加調理(※)の技術を活かし、この京都舞コーンを塩だけで味付けしました。旬の時期が短い京都舞コーンをスープにすることで、そのおいしさを1年を通して楽しめます。

当社での製造過程においては、食品添加物を使用しておりません。

『京都舞コーンスープ』パッケージ画像
『京都舞コーンスープ』パッケージ画像
『京都舞コーンスープ』盛り付けイメージ
『京都舞コーンスープ』盛り付けイメージ

まとめ

「捨てるしかない」という言葉から始まったこの取り組みは、2025年で7年目を迎えました。農家さんが毎日畑を見守り、形やサイズが不ぞろいでも丹精込めて育てた京都舞コーン。それを無駄にしたくないという生産者の想いと、素材を余すことなく活かしたいという石井食品の想いが重なったところに、この一杯は生まれています。炒め加減のギリギリを狙い、芯まで出汁に使い、洗浄工程を毎年見直す。そうした地道な積み重ねが、塩だけで仕上げるシンプルなスープの奥にあります。
「美味しいものを安定して届けたい」。畑でも工場でも、その言葉を軸に対話と改良が続いています。一杯のスープの向こうに、そんな人と人のつながりがあることを知っていただけたら、きっとまた違った味わいで召し上がっていただけると思います。

※本記事は、2025年実施の取材内容を基に構成しています。

京都舞コーンスープについて詳しくはこちら:https://cp.directishii.net/kyotomaicorn

ロックファーム京都HP:https://rockfarmkyoto.co.jp/