【京都府京丹波町】山椒農家を訪ねて 極上の爽やかさと感動のしびれ
爽やかな香りで初夏の食卓を彩る「山椒」。収穫時期が短く下処理や保存に悩む声や、家庭栽培で「枯らしてしまった」という苦労も聞かれます。2026年5月27日、石井食品は京都府京丹波町へ。全国の生産者が教えを乞う“山椒栽培の名人”白樫さんを訪ねました。京丹波の自然が育む実山椒の魅力と、レジェンド直伝の知られざる栽培の裏側をお届けします。
目次
- 京都京丹波の豊かな自然と実山椒を育む「絶妙な日陰」
- 生産者プロフィール
- 「一枝に100粒」実を凝縮させる名人技
- 労働生産性を高める「若返り」の剪定
- 産地からの逆オファー!全国へ広がるレジェンドの技術
- ハウスでは真似できない「自然の摂理」と出荷時期のコントロール
- 家庭で楽しむ山椒の美味しい使い方
- 商品紹介 -地域産業を支援する「実山椒カレー」の開発
京都京丹波の豊かな自然とみずみずしい実山椒を育む「絶妙な日陰」
京丹波町にある白樫さんの農園は、山に囲まれ日中約7時間しか日が当たらない「絶妙な日陰」が、みずみずしい実山椒を育てています。
農園に一歩足を踏み入れると、美しい里山の風景が広がります。近くを流れる川からの澄んだ風が心地よく、鼻をくすぐる山椒の爽やかな香りが、旅の疲れを一瞬で吹き飛ばしてくれました。初夏の太陽を浴びて青々と輝く実山椒の房は、まるで緑の宝石のよう。山に囲まれ、程よく日陰になるこの地形こそが、山椒を柔らかくみずみずしく育てる最高の条件です。
生産者プロフィール
山椒栽培の第一人者・名人 白樫(しらかし)さん
京都府京丹波町で、長年にわたり山椒栽培の研究と実践を重ねる。独自の剪定技術と自然の地形を活かした栽培管理で、全国の産地から教えを請われる京丹波の山椒名人です。困っている生産者に技術を伝えたいという想いから栽培テキストを自ら執筆し、地域農業の活性化と後進の育成に尽力しています。
「一枝に100粒」実を凝縮させる名人技
白樫さんの朝倉山椒は、一枝に80〜100粒もの大きな実をつけ、香りが強く辛みはマイルドなのが特徴です。
石井食品: この山椒、一房の実がものすごく大きくて驚きました。
白樫さん: 「大体この一枝に80から100粒は実がなってるんです。私はいつも100粒って言うんやけどね。実が大きくてしっかり重量があるのが、うちの山椒の特徴です。」
石井食品: この品種はどのようなものですか?
白樫さん: 「これは『朝倉山椒(あさくらさんしょ)』の系統です。和歌山や高知で有名な『ぶどう山椒』とは違ってね。朝倉山椒は香りが非常に強くて、ピリピリとした辛み(しびれ)が強すぎず爽やか。市場でも食べやすいと評判なんですよ。」
労働生産性を高める「若返り」の剪定
白樫さんは、古い枝を切って若木を保つ「若返りの剪定」と、鶏糞だけを使う無農薬栽培で山椒を育てています。
石井食品: ブドウ山椒にもトゲがあるそうですね。栽培でのこだわりも教えてください。
白樫さん: 「トゲはありますよ。成長とともにトゲが少なくなりますが、私も収穫のときは手が傷だらけです(笑)。こだわりは、苗木を自分で育てて良い苗を植え、徹底した『剪定』で木を若返らせること。古い枝をそのままにすると新芽が出ず、房が細かくなって生産性が落ちる。だから古い枝をズバッと切って、常に若木の状態を保つ。肥料は鶏糞だけで、化学肥料や農薬は使いません。」
産地からの逆オファー!全国へ広がるレジェンドの技術
夏の乾燥から若木を守る栗の木との混植の工夫が評価され、白樫さんのもとには本場・兵庫の但馬をはじめ全国の産地から教えを請う声が届きます。
石井食品: 農薬を使わずにこれほど立派な山椒を育てるのは、並大抵の苦労ではないですよね。
白樫さん: 「一番大変なのは、木が若い時に枯らさないこと。特に『夏の乾燥』対策が重要です。山椒は根が浅く、平坦地で強い光が当たるとすぐ乾いて枯れる。だからうちは山に囲まれた、適度に日陰ができる環境(混植)で、柔らかい山椒を育てています」
石井食品: 全国からたくさんの方が学びに来られるそうですね。
白樫さん: 「人が喜んでくれるのが一番嬉しいですね。地元向けの講習会が、インターネットやJAの広報で広がって。朝倉山椒の本場・兵庫の但馬の方からも『朝倉山椒を復活させたいから教えてほしい』と頼まれたり、岡山県の農協組合長や高知県の副町長がみえたりと、みんな困ってはるから、技術を教えるテキストも自分で作ったんですよ。」
ハウスでは真似できない「自然の摂理」と出荷時期のコントロール
白樫さんは、山の山椒による自然受粉と、涼しい地形を活かした収穫時期の調整で、市場に山椒が少ない時期にも良品を届けています。
石井食品: 気候を活かした工夫はありますか。
白樫さん: 「他の地域では早く出荷しようとハウス(温室栽培)で作ることもあるけれど、ハウスは蒸れるし、ミツバチなどの昆虫が来なくて受粉できず失敗しやすいです。山椒は、山に自然に生えた山椒の花粉が風や虫で運ばれて実がなる。自然の摂理を活かすのが一番。さらにうちは涼しい地形を活かして、他の市場から山椒が無くなる少し遅い時期まで収穫が可能です。自然に逆らわない栽培で、良いものを届ける工夫をしています。」
石井食品: 白樫さんが育てる朝倉山椒を教えてください。
白樫さん: 「和歌山や高知で有名なブドウ山椒は、乾燥させると種がポロッと落ちて皮だけになります。うちの朝倉山椒は実を剥かずに使うぶん、収穫にも手間がかかります。けれど粉山椒に使用する場合は、香りが強くて、辛みもマイルドで爽やかです。そこがいちばんの持ち味なんですよ。」
家庭で楽しむ山椒の美味しい使い方
白樫さんのお宅では、木の芽をタケノコ料理に、実を川魚の甘露煮に、そしてペーストにした「山椒味噌」にと、山椒を暮らしのなかで楽しんでいます。
石井食品: 白樫さんのお宅では、普段どのように山椒を使われていますか。
白樫さん: 「昔から農家では自給自足が基本でね。春になると、山椒の葉(木の芽)は、筍と一緒にを煮たり、筍ごはんのトッピングにしたり。山椒の実は、アユの甘露煮など、川魚の生臭さを消すのに最高です。他にもちりめん山椒やフキの佃煮に加えたり、最近は妻が実山椒をミキサーでペーストにして味噌と合わせる『山椒味噌』が得意でね。キュウリにつけたりおにぎりに塗ったりするとおいしいですよ。山椒の実を焼酎に漬け込んで作る山椒酒などにもします。」
商品紹介 -地域産業を支援する「実山椒カレー」の開発
私たち石井食品は、白樫さんの技術を全国へ広げる想いから、無添加調理※と保存技術を活かした「実山椒カレー」の開発を始めました。 ※石井食品での製造過程においては食品添加物を使用しておりません。

商品開発担当 坂本さん:京丹波は、丹波栗や丹波黒豆で知られる「食の町」です。その京丹波で、白樫さんが半世紀かけて守ってきた朝倉山椒を、栗や黒豆に次ぐ新しい特産品に育てたい。京丹波フードバレー構想のもと、山椒カレーを通じた町おこしに取り組みます。山椒の爽やかな香りをカレーにそのまま閉じ込め、山椒の香りが弾ける、新しい味わいを目指しています。山椒のスパイスの香りを楽しめる一品に仕上げました。
京丹波町が令和5年(2023年)3月に策定した『京都丹波町フードバレー』にもとづく、食を軸にしたまちづくりの取り組みです。町の最大の魅力である「食」を中心に、「農業」「観光」「情報」「産業」が連携し、官民が協力して「食の町」の実現と地域の活性化を目指します。 引用:京丹波町ホームページ
商品は、地元の自治体や道の駅、地元企業と連携し、地域産業を支える仕組みづくりを進めています。地域で生まれた産品を、地域の力で育て、全国へ届けてまいります。
・販売店:石井食品公式オンラインストア・京丹波町エリアより、順次販売を予定