【山梨県大月市】農地を守り継ぐ新玉ねぎ
山梨県大月市(以下「大月市」)では、「遊休農地」と呼ばれる、農業に利用されなくなった水田や畑などが少しずつ増えています。その農地をよみがえらせ、地域を盛り上げたい。私たち石井食品は、2016年から大月市の新玉ねぎを、商品づくりに活かしてきました。
大月市の新玉ねぎは、富士を望む谷あいの寒暖差で育ち、みずみずしく火を通すほど甘みや旨みが増すのが持ち味です。2026年6月、大月市を訪れ、生産者の一人の米山さんにお話を伺いました。
目次
- 遊休農地を、実りの畑へ──石井食品「地域と旬」の取り組み
- 富士を望む谷あいが生む、みずみずしい大月市の新玉ねぎ
- 獣に強く、畑を守る作物
- 水を引き、畑を守り継いだ土地
- 「苦労したことは、必ず残る」──生産者・米山さん
- 商品紹介
遊休農地を、実りの畑へ──石井食品「地域と旬」の取り組み
私たち石井食品は、大月市の新玉ねぎを通じて、地域の発展に取り組んでいます。
大月市は、市域のおよそ約87%が森林です。(参考:令和6年公表 大月市森林整備計画より抜粋)山間の地形で、平らな土地が少ないため、大規模な農業は難しく、さらに担い手の高齢化も進み、使われない農地(遊休農地)は年々増えています。そんな大月市で、私たちは2016年より、大月市産の新玉ねぎの商業化や特産品づくりに取り組んできました。使われなくなった水田や畑を、玉ねぎの畑へ利用し、育った新玉ねぎは、石井食品の無添加調理※でハンバーグにします。その名も「山梨大月市の新玉ねぎを使ったハンバーグ オニオントマトソース」として、地元を中心にお届けしています。
※石井食品での製造過程においては食品添加物を使用しておりません。
当初は、たった1軒の生産者さんとの連携でしたが、生産者グループの「玉ねぎ研究会」を立ち上げ、勉強会を重ねるうちに、作り手の輪は少しずつ広がっていきました。近年は、近隣や都市部で農学を学ぶ学生も、収穫作業に加わります。玉ねぎを起点に、地域連携の輪が広がっています。
2025年秋からは、私たち石井食品も、遊休農地の一角をお借りして新玉ねぎづくりに挑戦しました。新玉ねぎを仕入れて加工するだけでなく、この新玉ねぎのおいしさを、全国の食卓にお届けするため、米山さんをはじめ、玉ねぎ研究会のみなさんの知恵をお借りしながら、畑に立ちました。
この取り組みは、生産者やメーカーだけのものではありません。行政とも手を携えています。2026年6月、私たち石井食品は大月市の小林信保(こばやし のぶやす)市長を訪ね、今年の新玉ねぎの作付量のご報告や、新たな活用、今後の展望について意見を交わしました。 立場が異なりますが、同じ畑を大切に思う者同士が手を携える、有意義な時間となりました。
玉ねぎを起点に、農地を蘇らせる。作り手が増え、地域がにぎわう。私たちは大月市とともに、この土地の農業を次の世代へつないでいきます。
富士を望む谷あいが生む、みずみずしい大月市の新玉ねぎ
大月市の新玉ねぎのおいしさの秘密は、生育環境にあります。
大月市は、富士山を望む山あいの町で、畑の多くは、山の中腹にあります。日夜の寒暖差が大きく、周りに高い山がないため、風がよく抜ける地形です。日照時間も長く、大月市の作物は太陽の光をたっぷり浴びることができます。また、南向きに傾斜ついた地形は、雨が降っても水はけがよく根腐れを起こしにくいといった特徴があり、この環境が、おいしさとみずみずしさを生みます。
持ち味が引き立つのは、火を通したときです。加熱するほどに甘みがぐっと増し、それでいて食感は残る。噛むほどに、うまみが広がります。まさに、ハンバーグにぴったりの新玉ねぎです。
また、取り組み当初は加工用に栽培していた大月市の新玉ねぎですが、昨年からは「大月市産新玉ねぎ」として、新玉ねぎそのものも出荷をしました。※地元の量販店を中心に数量限定販売
水を引き、畑を守り継いだ土地
大月市の新玉ねぎ畑は、先人が水を引いて守ってきた土地にあります。大月市は、平らな土地が少ない山あいの町。水を引くのも、ひと苦労でした。米山さんの畑を語るのに、「水」の話は欠かせません。
米山さん「あの高い山の向こうに、また山があって、さらに山が3つ4つ。その奥の水源地から、トンネルや水路をつたって、2時間ぐらいかけて、やっと水が流れてくるんです」
水源地までは、約12km。用水路の建設が始まったのは、戦後の昭和22年(1947年)、いまから約80年前のことでした。当初は東京の業者が工事を請け負ったものの、あまりの難工事に、一年もたたず手を引いてしまう。次に入った業者も、わずかな仕事をして去っていきました。
それでも、村の人々はあきらめませんでした。昭和24年、組合員が自らの手で工事を進める決意を固めます。
米山さん「もうこうなったら、自分たちの手でやるしかない、と。ノミや槌を持って、村の人々が立ち上がったんです」
こうして人の手で掘り抜いたトンネルは、13か所。いまも賑岡町土地改良区を中心に、この水路は守られ続けています。

生産者プロフィール 米山さん
昭和21年生まれ7人兄弟の長男として生まれ育ち、小学校のころから家の農業を手伝ってきました。会社勤めをしながら、現在は、お米、玉ねぎ、さといも、果実等を手がける農業主です。子どものころから続けている、主のお米づくりはもう70年になります。年齢を重ね「あと何年続けられるか」と考えることもありますが、情熱がある限り、これからも誇りを持ち農業を続けたいと思います。
担い手が減り、使われない畑が増えていく。それが、この土地の現実です。
米山さん「高齢化が進み、本当にここ10年で急に農業を続ける人が減ってしまい、使われなくなった農地が増えてしまった」
それでも、下を向きません。
山にあった松を畑へ植え替え、正月の門松として育てたり、柿を育てて、地元の道の駅で販売をしたりと、70年で培われてきた農業の基本を活かし、小規模ではありながら、必要な人へ新しく挑戦した作物を届けています。
取材の終わりに、米山さんはこう話してくれました。
米山さん「自分がそこで苦労して勉強したことは、必ず残ると思います。だから、それを活かしてもらいたい」
手渡したいのは、作物だけではありません。土地とともに生きる知恵。それを、米山さんは静かに語ってくれました。
商品紹介
じっくり炒めて甘みとうまみを引き出した、大月市の新玉ねぎ。そのみずみずしさをパティとソースの両方につかい、相性の良いトマトソースで仕上げたハンバーグです。この土地の豊かな味を、あなたの食卓でお楽しみください。
販売店情報: 山梨県内エリアを中心とした量販店ほか
※季節限定のため、なくなり次第販売終了となります。