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2026.07.24

「規格外」は、もったいない以上に価値がある──ロックファーム京都・村田さんと考える日本の農業

ラジオ「石井食品 presents おいしいの種」#14

毎週日曜日の朝、ラジオ番組「石井食品 presents おいしいの種」では食の楽しさと大切さをお届けしています。 先週に続いてのゲストは、私たち石井食品と「京都舞コーンスープ」を共同開発した、ロックファーム京都の代表・村田翔一(むらた しょういち)さん。後編となる今回は、見た目のせいで捨てられてきた「規格外」の野菜に村田さんが見いだす価値、いま日本の農業が抱える課題、そして元消防士だった村田さんが畑に立つまでの歩みを伺いました。  

目次

  • 見た目が悪いだけで、捨てられていた野菜
  • A品から「しこみちゃん」まで。規格の裏側
  • 曲がったキュウリは、むしろおいしい
  • 数字が映す、日本の農業の「二極化」
  • 元消防士が畑に立つまで。そして一年をめぐる畑
  • まとめ

ラジオ出演者

村田 翔一(むらたしょういち)
ロックファーム京都 代表取締役社長。京都で九条ネギや京都舞コーンなどを育てる農家。約10年、地元で消防士を勤めたのち、2018年に独立して就農した。社名の「ロック」は、先代である祖父・岩吉(いわきち)さんの名に由来する。「農業をカッコよく」を掲げ、農業のイメージそのものを変えようと走り続けている。

 

岩田 知佳(いわた ちか)
InterFM ラジオDJ。千葉県船橋市出身。石井食品・石井智康と同郷・同級生という縁から、ラジオ番組「石井食品 presents おいしいの種」のDJを務める。2児の母としての日常や、食と子育てにまつわるリアルな視点が持ち味で、ゲストから自然体の言葉を引き出す聞き上手。毎週日曜の朝、食を通じた温かい会話をリスナーに届けている。 

 

石井 智(いしい ともやす)
石井食品株式会社 代表取締役社長。千葉県船橋市出身。同世代の経営者や地域の仲間とのつながりを大切にし、食品業界の未来と食文化への貢献を発信し続けている。娘を育てるパパとしての顔も持ち、日々の食卓に寄り添う目線を経営にも番組にも活かしている。毎週日曜の朝、食の楽しさと大切さをリスナーへ届けるホストを務める。

見た目が悪いだけで、捨てられていた野菜

岩田さん:先週は『京都舞コーンスープ』の開発の道のりを伺いましたが、その背景には「食品ロス」の問題があったそうですね。

村田さん:「京都舞コーン」にも、自社で決めた規格があるんです。味はいいのに見た目が悪い、いわゆるC品規格。ちゃんと食べられるのに、当たり前のように廃棄してしまっていました。

石井:農家さんの「困りごと」を、加工の技術でお役に立てないかと考え、「もったいない」以上に、本当は価値があるものが無くなってしまっている。それを活かせないかと考えました。

村田さん:加工食品というと原料を納品するだけの事例が多いです。でも石井食品のスタッフさんが都度、味のチェックに足を運んでくださって。僕のOKが出るまでやる。その熱意を、すごく感じました。

ロックファーム京都の畑で打ち合わせをする様子
ロックファーム京都の畑で打ち合わせをする様子

A品から「仕込みちゃん」まで。規格の裏側

岩田さん:規格には、いくつか段階があるんですよね。

村田さん:一番大きい500g以上が「プレミアム」、平均糖度18度かつ350g以上をクリアしたものが銘柄としての「京都舞コーン」、いわゆるA品です。

岩田さん:では、そこから外れたものはどうなるのでしょうか。

村田さん:先端の実付きが悪かったり、虫食いを切り落としたりしたものはB品で、「舞妓さんにまだ慣れていない仕込み段階」という意味で「しこみちゃん」と名付けました。見た瞬間に印象を悪くしてしまうものは、すべてC品です。そのC品が、生産量全体の5~10%ほどあります。

しこみちゃん (提供:ロックファーム京都)

曲がったキュウリは、むしろおいしい

村田さん:これは誰が悪いという話ではないんです。スーパーで傷ついたものときれいなものが並んでいたら、なんとなくきれいなほうを取ってしまう。まっすぐなキュウリと、ぐっと曲がったキュウリのように。

石井:でも家庭菜園をしていると分かるんです。曲がったキュウリも十分おいしい、むしろこっちのほうが、とか。小さなタマネギも、スープに入れるなら切らなくていいぶん楽だなと感じています。

村田さん:それなのに、価値が伝わらないまま、ビジネスに乗りきらない食材が日本全国の畑にたくさんあります。

岩田さん:だからこそ、届け方が大事ですね。

村田さん:ええ。舞妓さんを描いたパッケージにしたのも、海外から来られたお客様やお土産を選ぶ方に、ひと目で伝わるように意識しました。この白いとうもろこしを、もっと広く多くの方に届けたいんです。

出典:photoAC
出典:photoAC

数字が映す、日本の農業の「二極化」

岩田さん:農林水産省の資料では、主に農業に従事する「基幹的農業従事者」は2000年の約240万人※1から2023年は約116万人※2へと半分以下に減少しています。村田さんはこの数字をどう見ていらっしゃいますか。

村田さん:近年、すごく「二極化」を感じます。鳥取のスイカのように「儲かる」となれば若い世代が帰ってくる地域もあれば、継ぐ人がいなくなって耕作放棄地が広がる地域もあります。

岩田さん:京都は、二極化でいうとどちらでしょうか。

村田さん:京都は都市に近くて立地がよく、物流会社も多いため、作物を作れば運べる環境です。それでも多くの地域は人口が減り、農家さんがいなくなって耕作放棄地が増えている、それが基本的な現状だと思います。

※1 出典:農林水産省「農林業センサス」
※2 出典:農林水産省「農業構造動態調査」

元消防士が畑に立つまで。そして一年をめぐる畑

岩田さん:村田さんは、もともと消防士だったんですよね。全く違うお仕事から、この世界に入ってみてどう感じましたか。

村田さん:消防士をしながら家の農業を手伝っていたので、地元・京都の農業は知っているつもりでした。でも日本各地の農業経営者と出会って、抱いていたイメージがごろっと変わったんです。地元では「農業は儲からへん」という井戸端会議ばかりでした。

石井:もともと、農業を勧められていたわけでもなかったんですよね。

村田さん:親父からは「農業なんか継ぐもんじゃない」と言われて育ちました。だからこそ外に出て、見える景色が変わりました。今は「農業をカッコよく」を掲げて、日本の農業を変えたいと思っています。

岩田さん:ロックファーム京都では、一年を通してどんな作物を作っていらっしゃいますか。

村田さん:6~7月頃と10~11月頃が「京都舞コーン」、夏はスイカを試験的に栽培、秋口には黒豆の枝豆、冬は”あざとい”ほどおいしい「あざといちご」を栽培しているのに加え九条ねぎは通年で育てています。夏には農場にお客様を招く「ロックフェス」も、今年は7月末を予定しています。

京都舞コーン (提供:ロックファーム京都)
京都舞コーン (提供:ロックファーム京都)
九条ねぎ (提供:ロックファーム京都)
九条ねぎ (提供:ロックファーム京都)
あざといちご (提供:ロックファーム京都)
あざといちご (提供:ロックファーム京都)

まとめ

番組では、村田さんにちなんで一曲が選ばれました。マイノリティーを高らかに歌った曲。「農業を変えていく」という、少数派であることを恐れない生き方に重ねての選曲でした。

思えば、村田さんの話はどれも「少数派」から始まっています。曲がっているから、小さいから、見た目が悪いから──そうして選ばれずに捨てられてきた野菜。もうからないと言われ、継ぐ人が減っていく地域。けれど村田さんは、その一つひとつに「もったいない以上の価値」を見つけ、名前をつけ、食卓へと届ける道を探し続けています。

私たち石井食品にとっても、それは他人事ではありません。畑に眠ったままの価値を、おいしさというかたちに変えて、つくり手のもとへ、そして食べる人のもとへ。京都の白いとうもろこし「京都舞コーン」がつないでくれたご縁を、これからも大切にしていきたいと思います。

 

■京都舞コーンスープについて詳しくはこちら:https://cp.directishii.net/kyotomaicorn
■ロックファーム京都HP:https://rockfarmkyoto.co.jp/

ラジオ音源もぜひお聴きください

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