お菓子を囲む幸せを、これからも——ユーハイム河本英雄さんと語る、おいしさの磨き方
ラジオ「石井食品 presents おいしいの種」#28
毎週日曜日の朝、ラジオ番組「石井食品 presents おいしいの種」では、食の楽しさと大切さをお届けしています。前回に引き続きゲストは、株式会社ユーハイム代表取締役社長の河本英雄さん。
食品添加物に頼らず、素材の持ち味を生かしたおいしさを届けたい。その想いを形にするには、ただ食品添加物を使わないだけでなく、味や香り、食感を整える職人の工夫が欠かせません。ユーハイムと石井食品は、互いの技術を分け合う「/0(スラッシュゼロ)ラボ」に取り組んでいます。河本さんに、会社の垣根を越えておいしさを磨く理由と、その先に届けたい、お菓子を囲む幸せについて伺いました。
目次
- 「おいしいものを作ろう」から始まったラボ
- 苦労を分け合うと、新しいおいしさが生まれる
- 選んでほしいのは、おいしさを作る工夫
- お菓子を作れる、食べられる。それは平和な日常
- まとめ
ラジオ出演者

河本 英雄(かわもと ひでお)
1969年兵庫県神戸市出身。明治大学商学部卒業。慶應義塾大学大学院修了。1999年ユーハイム入社。パリ研修を経て帰国後に企画室長。中央工場、営業部長を経て関西支社長。その後、海外事業統括、営業本部長、代表取締役専務を経て、2015年に代表取締役社長に就任。

岩田 知佳(いわた ちか)
InterFM ラジオDJ。千葉県船橋市出身。石井食品・石井智康と同郷・同級生という縁から、ラジオ番組「石井食品 presents おいしいの種」のDJを務める。2児の母としての経験や地域コミュニティづくりを通じて感じたことを交えながら、食をめぐるゲストの話に耳を傾け、リスナーの日々にそっと寄り添う。

石井 智康(いしい ともやす)
石井食品株式会社 代表取締役社長執行役員。千葉県船橋市出身。食にまつわる課題の解決や、地域の食の魅力を伝える取り組みに向き合っている。娘を育てる父親として、日々の食卓を身近に感じる視点も持つ。「おいしいの種」では、ゲストとともに食の楽しさや大切さを考える。
「おいしいものを作ろう」から始まったラボ
岩田さん:「/0(スラッシュゼロ)」という考え方を、会社の枠を超えて広げていく「/0ラボ」。どのような思いで始まったのでしょうか?
河本さん:石井食品さんと「おいしいものを作ろう」という想いが一緒だね、という話から始まりました。「/0」は、製造工程で食品添加物を使わないということですが、それがおいしさにつながっていくことが大事だよね、という考え方です。
石井社長から「ラボにしよう」と提案をいただきました。食品添加物を使わずにおいしいものを作るには、技術がとても重要です。その技術を伝え合いながら、おいしいものを作るラボにしよう、という意味で始めたものです。

「/0ラボ」ロゴと意味
石井:それぞれの会社に、職人たちの工夫があるんですよね。技術を社内だけにとどめず、分け合って、より良いものを作った方がいい。そこから新しい技術が生まれるのではないかと考えています。

「/0ラボ」設立プレス会での集合写真(2025年)
苦労を分け合うと、新しいおいしさが生まれる
石井:最初の打ち合わせに職人を連れていったら、両社の職人同士で大いに盛り上がりました。それぞれが感じている難しさに「わかる、わかる」と。時間が来ても話が終わらなくなるほどでした。
自分たちの取り組みを認めてもらえたり、他社の取り組みを知ったりする。その中から、より良い技術が生まれるのではないかと考えています。「/0ラボ」を通じて技術を高めていくことが狙いです。
河本さん:「おいしいものを作ろう」という強い思いがなければ、技術は生まれません。共通の思いを持つ者同士が結びつき、苦労話から「こうしたらおいしくなったんだ」と話が弾む、有意義な時間でしたね。
岩田さん:苦労しているからこそ、盛り上がる話があったんですね。
石井:ただ食品添加物を抜いただけでは、おいしくなくなることもあるんです。味や色、香りも含めて、努力を重ね、技術を加えて、初めてよりおいしいものが作れる。そういう取り組みに、さまざまな会社にも加わっていただきたいと考え、このラボを立ち上げました。
岩田さん:他の食品会社やお菓子の会社も加わって、「/0ラボ」に参加する人が増えていく可能性があるんですね。
河本さん:そうですね。お菓子や食品だけにこだわらず、もっと広い分野に「/0ラボ」の考え方が広がっていけばいいなと思っています。

「/0ラボ」設立プレス会でのクリームの絞り実演(2025年)。写真の商品は第1弾の『和栗のモンブラン』
選んでほしいのは、おいしさを作る工夫
岩田さん:物価高でさまざまなものの値段が上がる中、何に価値を感じてお金を出そうかと考える方もいると思います。信念を持って、職人さんが熱く、楽しく作っているものを選びたい。その思いを、お客さまにも感じてほしいですね。
石井:この「/0ラボ」を通して今日お話しした考え方を、より多くの人に知ってもらいたいですね。食品添加物が入っていないから良い、入っているから悪い、ということではありません。「工夫を重ねておいしいものを作っている」ということを支持してほしいと思っています。
僕らも、よりおいしいものを作っていくので、楽しみにしていてほしいですね。
お菓子を作れる、食べられる。それは平和な日常
岩田さん:お菓子は、ご褒美やお祝いなど、人生を豊かにする食だと思います。これからのお菓子作りを、どのように考えていますか?
河本さん:ユーハイムでは「お菓子には世界を平和にする力がある」という言葉を掲げています。お菓子を作ったり食べたりできるのは、平和だからこそです。その状態を作るために、さまざまな会社と共同で取り組んでいかなければならないと考えています。
一人の職人や一つの会社だけではできないけれど、世界中の人が同じ想いでつながれば、お菓子には世界を平和にする力があるかもしれない。みんなでやっていこう、ということなんです。みんなで食べると、やっぱりおいしいですよね。
石井:お菓子って、本当に平和の象徴だなと改めて感じました。お子さまたちも一緒に食べて「楽しい」というのは何気ない日常ですが、戦争などの有事には、真っ先になくなってしまうのかもしれません。
河本さん:創業者のカール・ユーハイムは、第一次世界大戦の捕虜として日本に連れてこられました。ドイツでは、自分の職業を「天職」と考え、どんな状況でもその仕事を続けようとする考え方があります。カール・ユーハイムも、捕虜として過ごす間、お菓子作りを続けていたんです。
戦争や地震を乗り越えながら、お菓子を通じて多くの人に幸せを届けていく。そこに使命感があったと思います。そうした歩みが、お菓子と平和の結びつきを象徴しているのではないでしょうか。
まとめ
職人が積み重ねてきた工夫を、会社の中だけにとどめず、分け合って次のおいしさにつなげる。「/0ラボ」の話から見えてきたのは、同じ想いを持つ作り手同士がつながる意味でした。
お菓子を囲んで「おいしいね」と言い合える時間も、当たり前にあるものではありません。その日常を未来へ届けるために、作り手ができることは何なのか。身近なお菓子の見え方が、少し変わるお話でした。
今回、番組で試食した『和栗きんとんモンブラン』も、「/0ラボ」の取り組みから生まれた一品です。石井食品が調達した小さな栗や割れた栗をペーストに加工し、ユーハイムの菓子づくりの技術と組み合わせて、新たな一品に仕上げました。両社がそれぞれの技術を持ち寄り、素材の活用につなげた取り組みです。
※各店舗ごとに販売数量が限られており、なくなり次第終了となります。

『和栗きんとんモンブラン』(提供:ユーハイム)
ラジオ音源もぜひお聴きください
radikoでは放送後1週間、音楽とともにお楽しみいただけます。ポッドキャストは期限はなくいつでもトークのみ視聴可能です。
▽今回のトークを音声で聴くならこちらから 🎧