つくる
2026.04.22

総務の域を超えて、「人を輝かせる総務」へ。

——困った顔を放置しない。八千代工場総務が大切にしていること

コーポレート部総務グループの秋本さんと菊池さん
コーポレート部総務グループの秋本さんと菊池さん

「困ったね」で終わらせない。

八千代工場の総務チームには、そういう空気があります。白衣のサイズが足りなければ在庫を数字で分析し、業者に交渉する。ルールが浸透しなければ、掲示ではなく1分間の動画マニュアルを作る。外国籍の従業員が馴染めなければ、多言語での掲示や食文化の交流企画を立ち上げる。

工場総務は、ともすれば「規則を守らせるだけの部署」になりがちです。しかし菊池さんと秋本さんが目指しているのは、従業員一人ひとりが仕事を通じて輝ける職場を、縁の下から支える存在です。

今回は、八千代工場総務の菊池さんと、コーポレート部総務の秋本さんに、現場の日常と「人を輝かせる」ための工夫を語っていただきました。

司会・編集:オウンドメディア編集部(ESG推進チーム:仲山/顧客体験デザイン部:坂本)

目次

  • 自己紹介と現在の役割
  • 現場の「当たり前」を変革する総務の力
  • テクノロジーで未来をつくる
  • 人が学び、つながり、輝く仕組み
  • 総務が描くこれからの姿

自己紹介と現在の役割

坂本: まずは自己紹介からお願いします。

菊池: 2023年に中途入社しました。人財開発部を経て、2025年4月から八千代工場総務に異動しています。前職はITベンチャーで、ベトナム赴任も経験しました。多国籍のメンバーが働きやすい仕組みづくりに関心があります。

秋本: 2009年9月に、週2〜3日・1日3〜4時間の短時間パートとして入社しました。翌年に社員登用していただき、以来ずっと総務を担当しています。部署名はさまざまに変わりましたが、従業員が毎日困ることなく仕事に注力できる環境づくりを続けています。

秋本さんのインタビュー風景
秋本さんのインタビュー風景

現場の「当たり前」を変革する総務の力

菊池: 私たちの仕事は、単に事務作業をこなすことではないと考えています。例えば、白衣一つとってもそうです。以前は、白衣のサイズが不足したり、数が足りなかったりすることがありました。現場から「私に合う作業服のサイズがなくて作業がしづらい」という相談が何件も寄せられていたんです。そこで、工場内でどのサイズがどのくらい足りていないかをヒアリングして、実際に在庫をカウントしながら数字で分析しました。業者とも協力しながら改善に導き、更衣室に十分なサイズの白衣が揃っている「当たり前」を保つのも、簡単ではないと工場総務に来て実感しています。

秋本: 菊池さんが工場総務に来てから、そうした変化が加速したと感じています。以前は「困ったね」で終わっていたことが、具体的な施策として打ち出されるようになりました。夏場の熱中症対策も、単に「気をつけよう」ではなく、休憩時間のルールを各マネージャーと協議したり、アイスネッククーラーの導入を企画したりと、一歩踏み込んだ取り組みになっています。

菊池: 情報の伝え方にも工夫を凝らしています。工場内のルールについて、ただ掲示するだけでは伝わりません。疲れて帰る従業員が掲示板をじっくり読む余裕はないですから。そこで、1分間の動画マニュアルを制作し、視覚的にわかりやすく伝えられるようにしました。総務は「ルールを守ってください」と言う立場になりがちですが、私たちは「どうしたらルールを守ってもらえるか」を考え、従業員と向き合っています。

テクノロジーで未来をつくる

坂本: 会社の大きな変革として、人事労務情報管理システムの導入は大変な苦労があったかと思います。当時のエピソードを聞かせてください。

秋本: 本当に大変でした。導入当初は「不安、大変。なんでこんなことをするの?」「パスワードがわからない」といった声もあり、「既存の業務をデジタル化するのがこんなにも大変なのか」と毎日泣きそうでした。でも、当時のマネージャーやメンバーが「いつかみんながこれを使えるようになって便利になる日が来る。今はつらくても、いつか笑い話になる」と励ましてくれたんです。今では皆が当たり前のようにログインして使ってくれていて、便利になったと声をかけてくれることも多い。あの時頑張ってよかったと感じています。

坂本: 菊池さんは、さらに一歩進んでAIボットの導入を進めているそうですね。

菊池: はい。総務には日常的に質問が多く寄せられます。担当者がいない時間帯だと対応が遅れてしまいます。それではもったいないので、総務が不在の時でも気軽に質問できるAIボットを導入しようとしています。今は、そのAIボットがうまく質問に答えられるよう、どんな質問が多く、どういう回答をすべきかの分析を進めているところです。これは単なる業務効率化ではなく、従業員がより便利に、迷いなく働けるようになるための取り組みだと考えています。

菊池さんのインタビュー風景
菊池さんのインタビュー風景

人が学び、つながり、輝く仕組み

仲山: 働きやすさという点で、心のサポートや従業員間のつながりを生むための工夫もされているそうですね。

菊池: はい。「グローバル人材プロジェクト」を立ち上げ、外国籍の従業員がより働きやすい環境を整えています。多言語でのルール表示や、出身国の料理を社食で提供する企画などを通して、彼らが工場のメンバーや職場に馴染めるようサポートしています。

仲山: 菊池さんがベトナムで働いていた経験が活かされているそうですね。

菊池: そうです。私自身、海外で外国人として働いた経験があり、その時に感じた思いがこのプロジェクトの原点になっています。言葉の壁や文化の違いで、なかなか前に出られない人たちがいることを知っているので、彼らがいきいきと働ける場を作りたいと思ったんです。取り組みの一環として、工場勉強会も開催しています。マネージャーが自身の失敗談や課題を乗り越えた経験を語ることで、工場内の心の距離を縮めています。また、50歳以上のベテラン社員向けの研修も実施しており、長年の経験を発揮できる場を提供しています。一般的な企業では、ベテラン社員のキャリア支援は難しいテーマだと聞きますが、石井食品では彼らがいきいきと活躍できるよう、場を整えています。

総務が描くこれからの姿

坂本: お二人の話を聞いていると、石井食品の総務は、従来の事務作業の枠をはるかに超えていると感じます。最後に、どのような総務を目指しているか聞かせてください。

秋本: 従業員の皆さんが「自分でやってみたら楽しかった、頑張れた」と働くことを楽しみ、会社は「よく頑張ってくれたね」とそれを応援して大きな力となる——そんな風土づくりを支える総務になりたいと思っています。新しい制度や大きな変更を始めるとき、不安や反発の声も出てきます。そこで引いてばかりでは何も変えられないけれど、押し進めるだけでもなく、一人ひとりに寄り添い、丁寧に説明することで、一人でも多くの人が変化を前向きに受け入れられるよう進めていきたいです。

菊池: 多くの企業では、総務は「役所」のような存在で、ルールを守らせるだけの部署になりがちです。しかし私たちのチームは、従業員が抱える課題に対して「なぜ」を深く掘り下げ、数字で分析し、具体的な解決策を提案することで、一人ひとりが仕事を通じて輝ける職場づくりをしていきたいと考えています。

【編集後記】 
白衣の在庫を数えるところから、AIボットの設計まで——話を聞きながら、総務の仕事の射程の広さに驚きました。しかしその根っこにあるものは一つで、「困っている人を放置しない」という姿勢です。秋本さんが人事システム導入の苦労を「あの時頑張ってよかった」と言い切る言葉に、石井食品の総務が大切にしてきたものが凝縮されていると感じました。